朝里のまちづくりの会・遺産部会(末永通部長)は、1993年(平成5年)に松前神楽小樽伝承百年祭実行委員会が発行した記念誌「北海道指定無形文化財 松前神楽 小樽伝承百年祭」を、資料としてPDFファイルにまとめ公開しました。
この記念誌は、昭和46年8月に増田又喜氏により編まれた緑陵論集の復刻を中心に作成された松前神楽の解説書。演目と音楽、神歌、装束、採物等が数多くの写真で一望できます。併せて道南地方、小樽後志地方の神社と例大祭の紹介、各地の松前神楽保存会紹介、調査協力と実行委員会関係者からの寄稿など、表紙を含め40頁にまとめられた貴重なものです。
★下記のURLからダウンロードしてご覧いただけます。 「松前神楽 小樽伝承百年祭」PDFファイル(22.5MB) https://asari.cc/pdf/books/Mkagura.pdf 書 名 北海道指定無形文化財松前神楽 小樽伝承百年祭 発 行 松前神楽小樽伝承百年祭実行委員会 事務局 北海道新聞中販売所内 発行日 平成5年10月27日
本文の一部をご紹介します。
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はじめに
古くは松前神楽という名前はなく、正月神楽、五月神楽、九月神楽といい、神社の鎮火祭に鎮釜湯立式を行ない神楽を演奏したのが基本的な型である。即ち下座神楽とは異なり神社祭式を織り込み、鎮釜湯立式の正神楽を基として編成され、山伏神楽も一部入り、京都の舞楽が重要な要素になっており、更に創作を加えて北海道特有のものにした。また松前藩主が神楽を奨励したこともあって、後世に神楽の道具に松前藩の紋をつけ本道開拓の祈りをこめ、怨霊退散、国土安穏、五穀豊穣、天下泰平の祈願として神前にて演奏された。
松前神楽は演劇的な要素はなく、神楽殿にては行なわずに社殿神前で奏上されるのが原則とされている。これが後になって招待神楽(上げ神楽ともいう)として福山城内(現在の松前城)でも行なわれるようになったものである。
また「松前神楽」の名称と現在の松前町とはその名称の上ではまったく関係がない。むしろ北海道神楽とでもいうべきものであろう。現在の松前町は古くは津軽津と称し、明治14年7月津軽郡(福山地方)と福島郡を合併して松前郡と改称し、更に昭和15年7月松前郡福山町は松前町と改称した。
松前神楽の音楽には笛、大太鼓、小太鼓、手拍子を用い、神歌が演奏されるが、笛は神楽笛を使わずに稚楽用「龍笛」を使用し、七穴の龍笛の一穴をふさぎ六穴で演奏するのが特徴である。また笛は斉奏しないで一人で演奏される。
また松前神楽に於て面を使用される舞は「翁」「三番叟」「猿田彦」の三つのみである。
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I 沿革
II 構成
III 演目と音楽及び解説
1. 鎮釜湯立式~式次第による
惣神拝、修祓・開扉・献饌、四方拝、神楽初、釜清め、正御神楽、注連脱、祝詞、遊拍子、湯立、湯上、恵比寿加持
2. 舞楽の部
祝詞舞、後祓舞、鈴上舞、庭散米舞、山神舞、神遊舞、四ヶ散米舞、千歳舞、翁舞、三番叟舞、荒馬舞、八乙女舞、神容舞、鬼形舞、湯倉舞、荒神舞、利生舞、十二の手獅子舞、神送舞、神上惣神拝
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